ICHINOMIYA project

太平洋沿岸の九十九里に位置する一宮町。
施主はこの地でロールケーキとクラフトビールの店を始める。
近郊の大都市から日帰りや数泊で訪れる人が多く、別荘も多い土地である。
「地域の住民」と「都市から訪れる人」が緩やかに混ざり合える場所
この地域にかつてあった湿原を尊重した、様々な動植物の居場所
自然と人工物をつなぎ、人やモノ、コトが循環するDOCK(波止場)のような建築の在り方を考えた。
この建築は、ある時はロールケーキ専門店とカフェとして、ある時はクラフトビールが飲める飲食店として、またある時は地域食材を持ち寄った蚤の市のような場所として機能する。
こうした商業と自然環境の異なるサイクル。そうした可変性と不変性を受け入れる構えを持った建築を土壁で構成された床、庇と、絹布を張った浮遊する木製建具によって実現した。土の床、庇は、敷地南側に広がる庭と、西側に相対する丘に対して地盤を構成する。
建具は人の目線や日射、海風といった環境との距離を調整する。
庭は50種類のハーブを植えたエディブルガーデンとした。
このハーブはビールやケーキなどに使用され、生ごみは敷地内でコンポストすることで、生産と消費の循環が生まれる。
雨水は土床を伝って大地へ還り、敷地を囲む砕石は雨水の浸透率を向上し、土中の水捌け、空気の流れを生み、水の循環を作る。自然エネルギーである地中熱は空調として利用するため、地中に埋めたダクトを通して外気を取り入れる。地方都市の環境・交流のHUBとなる新しい店舗のあり方をめざした。

#SHOP

Client:ILLOGICAL
Designer:NYAWA
Build:KUROSAWA KAWARATEN
Completion:on going
Photo:-